大学入試の推薦制度は様々あり、そのうちの1つが学校推薦型選抜になります。他の入試制度の場合は学校長の推薦は必要なく受験者の意思で出願できるというものであるのに対し、この学校推薦型選抜においては学校長の推薦が必要になります。学校長の推薦が必要であるということはだれでも自由に出願できるものではないという点が、この学校推薦型選抜の大きな特徴だといえるでしょう。
しかし実際は、1つの高校から出願できる人数や、出願するのに評定や資格等の制限がない限り、生徒が出願したいといえば高校は認めること一般的です。認めないケースがあるとすれば、出席日数が多いなど生徒側に問題がある場合や、高校側が推薦入試には否定的な場合でしょう。
生徒の自由意思で受験が可能な他の入試の場合も、大学には調査書の提出が必要となるので、生徒は学校側に調査書の発行を依頼せねばなりません。その際学校は、いくら推薦入試に否定的であっても、調査書を発行しないなどの対応は許されません。
しかしこの学校推薦型選抜においては、学校長の推薦を得られた生徒のみが受験できるというものであるため、学校側にダメといわれれば受験は出来なくなります。
学校長の推薦が必要ということ以外に、この学校推薦型選抜と他の推薦入試にはいくつかの違いがあります。
まず1つ目は、学校の推薦があることによって、生徒がその大学にふさわしいと推薦されているという点です。したがって、もし同時期に別の推薦入試が行われたとすると、合格しやすいのはこの学校推薦型選抜であるといえます。しかしながら入試は倍率によって大きく左右されますから、実体としていえるのは、倍率が低い方が受かりやすいということになります。
さらに2つ目として、いまでは浪人生も受験できる推薦入試の制度は多々あるのですが、学校推薦の場合は浪人生の出願は出来ぬというケースがまだたくさんあります。やはり学校推薦ですから、過年度生に対して高校の校長が推薦するということに対しては矛盾が生じるため、これは致しかなないかもしれません。しかし公立の都留文科大学では、学校推薦でも浪人生の受験を認めています。公立であるのにこの措置は珍しく、一概に学校推薦だから浪人は出願できないとは限らないことを示す、一例でなのです。
そして3つ目として、推薦入試は併願が出来る場合と出来ない場合があるのですが、学校推薦の場合は併願が認められないというケースもあります。指定校推薦ほどの拘束力はないものの、やはりこの入試の制度上、そうした措置を取ることは致し方ないのかもしれませんね。しかしここでも、甲南女子大学などでは学校推薦でも併願制と専願制のいずれかを選べるという入試を行っている大学もあります。
では試験内容はどうかというと、これは各大学によってまちまちであるため、一概に学校推薦型選抜であるからこうだ!ということはいえません。
しかしながら、総合型選抜も学校推薦型選抜も行っている大学を見ると、提出書類が少なかったり、試験で小論文が課せられないなど、学校推薦型選抜の方が試験内容は楽だという印象を抱くところもあります。これもやはり、高校のお墨付きが与えられているということによるものでしょう。
推薦入試は私立大学だけではなく、国公立大学でも行われております。国公立大学の推薦入試は、主に総合型選抜と学校推薦型選抜の2つに分けられ、どちらか一方のみが実施されている大学もあれば、2つとも実施されている大学もあります。
一般的には、9月から10月にかけて総合型選抜が行われ、その合格発表後に学校推薦型選抜が行われるというスケジュールになります。もし先に行われた総合型選抜にて不合格になった場合には、学校推薦型選抜の受験も可能となります。このことから、一般入試の前期と後期の様に、推薦入試も先に総合型選抜が行われ、その後に学校型選抜が行われ、2回の受験チャンスがあると捉えると良いでしょう。
学校長の推薦が必要という学校推薦型選抜は、いわば他の入試と比べ指定校推薦に近いといえるかもしれません。前述のように、確かに他の推薦入試と比べれば合格しやすいという傾向がみられる大学もありますが、それは倍率によるものであり、学校推薦を指定校推薦同様に、ほぼ合格するものと考えることはできません。
学校推薦と指定校推薦の大きな違いは何であるかといいと、指定校推薦はあらかじめ大学側が定員の枠の一部を高校に与え、高校側で選抜してくださいねという制度であるというものなのです。その人物が大学にふさわしいかどうかの判断ををあらかじめ高校側に委ねているわけですから、出願すればほぼ受かるようなものになっているのです。それに対して学校推薦は、定員の枠の一部を高校に与えているわけではありませんので、やはり大学において入試を実施します。その入試の点数によって合否が決まりますので、必ず合格するわけではなく、受験倍率によっては多くの生徒が不合格という結果を突き付けられることにもなるのです。